古事記では、現在の新潟県糸魚川周辺に勢力を持っていた一族の姫奴奈川姫のに、八千矛神(やちほこしん)という名前で登場する大国主神が
娶いをかけたという恋愛物語が伝わっています。奴奈川姫との間で交わされた歌を通して二神の熱烈な恋が、伝わってきます。
その歌は、それぞれの思いを鳥に語らせる形で述べていますが、日本中で妻を得ることが出来ず、この高志の国に美しい姫が居ると聞いて遠くここまで訪ねて来た。「早く戸を開けて私を中に入れて欲しい」と、苛々しながら言い寄る大国主神に対し、奴奈川姫は「そんなに急かしますな。私はいずれ貴方の物になるのですから、そんなに騒がずお待ち下さい。」と焦らす作戦に出ます。そして、翌日になって大国主神はやっと思いを
遂げる事が出来ました。女性が男性を焦らすのは神代の昔からの常套手段だったようです。この伝承は二神の間で交わされた相聞歌を伝えるだけで「高志の勢力」に付いても翡翠ついても語ってはいません
奴奈川姫への求愛