そのため、古代には、佐香(さか)神社といい、
鎮座地名も、小酒井から、現在の小堺へと変化した。
後、京都松尾大社から大山咋命を勧請し、
現在は、一般には松尾神社という。

この神社は酒造の許可があるようで、濁酒祭という特殊神事では、
酒造関係者が祈願の濁酒奉納式が行われいます。

松尾神社(佐香神社)御由緒略記
一、 鎮座地 島根県平田市小堺町一〇八番地清水
一、 神社名 延長五年(九二七)撰進された延喜式には、佐香神社とあり。
くだりて、寛文八年(一六六八)に建立された棟札には松尾大明神とある。
ともに、現在の松尾神社(佐香神社)のことである。  
一、 祭神 久斯之神 天津彦彦火瓊瓊杵尊 百八十神等
大山咋命 木花咲耶姫之命
一、 御由緒  
 出雲国風土記(天平五年二月)に、「佐香郷。都家の正東四里一百六十歩なり。佐香の河内に百八十神等集い坐して、
御厨立て給いて、酒を醸させ給いき。即ち百八十日喜讌して解散坐しき。故、佐香という。」とある。
 現在、当神社が鎮座されている小境は、出雲国風土記の「佐香」が転訛して、「古佐香井・古酒井・古酒恵・濃酒井」となったものといわれている。
 主祭神の「久斯之神」は、いわゆる、「薬師の神」であり、さらに、出雲国風土記の古事にあるように、「酒造の神」でもある。
また、「醸す」とは、ただに、酒を醸造することのみでなく、醤油・米酢・味噌等を醸造することでもある。
 一方、大山咋命は、世に言う「山を護る神様」で、森林業、鉱山業の守護神である。
 そして、配祀神である天津彦彦火瓊瓊杵尊は、「海を護る神様」で、漁撈豊漁の神であるとともに、海上運航安全の神として広くあがめまつられている。
 木花咲耶姫之命は、縁結びの神であり、安産の神である。
 社殿の造営には、古来より、国造・国主の命によってなされており、国造・国主はもちろんのこと、藩主松平公ならびに、巡見使等、ことのほか崇敬されていた。
これは、現在、社宝とされている鎧一領および文箱一式が、松平家より奉納されていることでもうかがわれる。
 十月十三日は秋季大祭である。この日を前後して、翌年二月ごろまで、酒造りの「杜氏」ならびに、各種醸造の関係者の参拝はあとを絶たない。
しかも中国五県は言うに及ばず、遠く四国・九州・神戸の灘地域からも参詣され、御霊験はますますあらたかである。
 明治二十九年十一月十九日付、勅令第二百八十七号酒造税法施行規則第四十五条に依り、「濁酒年一石以下無税」の許可を得て今日にいたり、
大祭当日は、一般参拝者一同、この御神酒を戴いて、家内安全、五穀豊穣を祈るのである。

☆酒の神様佐香神社、松尾神社(出雲市)其の二。