ヤチホコの妻問い
ヤチホコはオオクニヌシの別名とされていますが、本来は別の神だったという説もあります。ヤチホコは、高志の国(北陸地方)のヌナカワ姫を口説きに出かけ、
苦労して思いを達します。
要するにオオクニヌシは女性に対し、まめな男であったと言うことです。ここでは、ヌナカワ姫でけとのお話ですが、「オオクニヌシの神裔」には、タギリ姫・カムヤタテ姫・トトリ姫との関係が記されています。
古事記には、オオクニヌシの多情な性格を伝えた上で、正妻スセリ姫が嫉妬深い女性であることを更に強調しています。
スセリ姫の嫉妬に耐えきれなくなったオオクニヌシは、大和に行こうとします。行く先が大和である事の説明はありません。
オオクニヌシは「俺がいなくなったら、寂しい思いをするぞ」と捨て台詞投げ、スセリ姫は「男の貴方は、あちこちに女性がいるでしょう。でも女の私にとって男性は夫の貴方だけ。さあ二人で抱き合いながら、お酒を飲みましょう」と色仕掛けで誘い、その後二人は抱き合って、仲睦まじく暮らしましたとなっています。
スクナビコナと御諸山の神
この後オオクニヌシは、御大の御前(島根半島東端の美保関町)でカムムスヒの子スクナビコナと出会います。カムムスヒから兄弟として国作りせよといわれ、二人は協力しますがスクナビコナは突然いなくなります。
古事記にはいなくなった場所の説明はありませんが、日本書紀に「出雲の熊野の岬から常世8長世不老の国)に去られた。また粟嶋(鳥取県米子市彦名長)
で、粟茎によじ登って弾かれて常世に行かれたともいう」と記されています。
粟嶋は当時は島でした。出雲風土記に意宇郡の島」として紹介されています。
現在は弓ヶ浜半島の付け根で、当時の島は平地の中の小山(標高38メートル)になっています。
190段弱の急な階段を登った山頂に、クスナビコナを祭神とする粟嶋神社があります。